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中堅非鉄金属メーカー様
お客様はグローバル展開を推進するため新工場を設立しましたが、品質や生産性に課題を抱えていました。また、グローバル市場では温室効果ガスの削減やSCMの最適化といった課題にも直面しました。デジタルツインソリューション導入による解決を図るお客様からの諮問を受けて、ウルシステムズはその有用性を検証しました。
お客様は主力製品のグローバル展開に向けて生産能力を拡張すべく新工場を設立しました。しかし、稼働当初から品質や生産性に課題があり、生産能力は当初の想定を下回っていました。また、グローバル市場では温室効果ガスの排出に対するトレーサビリティの要求が強く、特にCO2は排出原単位での把握が喫緊の課題となっていました。新工場が抱える「品質・生産性の安定化」と「温室効果ガスのトレーサビリティ確保」を一挙に解決する施策としてお客様はデジタルツインソリューションの導入を検討されていました。
デジタルツインは物理的な設備やシステム、プロセスを仮想空間上に再現する技術です。現実世界とそっくりなデジタルの双子を通して、現実世界をモニタリングしたり、シミュレーションしたりするものです。今回のプロジェクトでは「①新工場の生産プロセスが安定しない原因をリアルタイムで特定し、改善策を模索する」「②顧客からのトレーサビリティ要求に応え、CO2排出量のデータを把握し、報告できる体制を構築する」という2つの目的でデジタルツインソリューションの導入を検討していました。
デジタルツインの有効性を検証したいと考えるお客様より依頼を受けて、ウルシステムズはデジタルツインを導入した場合にどんな設計になるのか、デジタルツインから得られた分析結果が喫緊の課題解決に役立つか確認することを提案しました。
3ステップでデジタルツインによるスマート工場化を支援しました。
まずは、新工場の設備の稼働状況を正確に再現するため、生産設備の配管図面をもとにデジタルツインのモデルを作成しました。生産設備の仕様を確認し、オペレーションデータをリアルタイムで取得する仕組みも設計しました。さらにERPシステムや品質データベース、生産計画や受発注データを管理するExcelファイルなどを棚卸し。デジタルツインに必要なデータ項目を選定し、クレンジングやデジタルツインへの連携フローを設計しました。一連の活動を通じて現場の稼働状況や品質のデータをデジタルで再現するために必要なシステムやプロセス、リソースを明らかにしました。
デジタルツインソリューションの効果を明確にするため、今ある業務課題や事業課題を洗い出し、その中でも短期間で迅速な改善が見込める部分を特定しました。仮説に基づき、簡易的なダッシュボードを設計、実装し、課題解決に役立つかどうかを確認しました。一連の取り組みを通じて関係者はデジタルツインを活用した課題解決とはどんなものか、どのようにオペレーションに影響するのか、導入時のイメージを掴みました。
業務課題や事業課題を踏まえて関係者へのヒアリングを実施。それぞれの課題に対する施策を具体化しました。また、デジタルツインソリューションをどのように適用するか、適用した後はどのようにモニタリングやシミュレーション、オペレーションへの反映が行われるべきか、ワークフローを整理しました。一連の活動を通じてデジタルツインを活用した運用が回るか、最終的に導入すべきか、意思決定を支援しました。
お客様が検討するデジタルツインソリューションの検証という限定的な状況ではありましたが、デジタルツインを活用するためのケイパビリティと適用可能な業務が明確になり、最終的に導入の意思決定を下せるところまで導くことができました。デジタルツインの導入そのものはトップダウンで始まったものですが、初期段階から現場や運用部門を巻き込むことで現場メンバーとの共通理解を醸成し、活用イメージを具体化したことで、導入前後の活動を円滑に進められるようにしました。