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大手エンジニアリング会社様
複数の事業を展開するお客様はリソースの最適配置を実現すべく、全社的な業務とシステム基盤の標準化に踏み切りました。SAP ERPの導入に長けた複数のコンサルティング会社が支援に入るもプロジェクトは難航。お客様からの要請を受けたウルシステムズはデータ中心アプローチと発注側でのプロジェクト推進で取り組みを軌道に乗せました。
エンジニアリングや建設など複数の事業を展開するお客様は事業環境の変化に応じてリソースの最適配置を実現したいとお考えでした。この際に課題となったのが人材リソースの流動性です。各事業部門では長年にわたり業務改善に取り組んできましたが、システム統合が遅れたことから事業部門単位の個別最適化が進んでいました。単一の事業部門内でも業務の属人化が進んでおり、人員の配置転換が困難になっていました。事業環境の変換に応じて収益性の高い事業に人員をシフトしたり、事業部門内で要員配置を行ったりするためには属人性を排除して人材の流動性を高める必要がありました。
この課題を解決するために、お客様は全社的な業務とシステム基盤の標準化を決断。全社横断プロジェクトを立ち上げ、SAP ERPによるシステム刷新に着手しました。プロジェクトでは各事業のEPC業務(設計、調達、建設)の見直しと標準化・効率化、データの一元化を目指しました。プロジェクトを推進するためにSAP ERPの導入を得意とするコンサルティング会社を複数起用し、システム刷新に向けた構想策定をスタートしました。しかし、コンサルティング各社の業務理解や進行方法とお客様の間で見解や意見の相違が発生し、プロジェクトが停滞する事態となりました。お客様は状況を打開すべく、新たなコンサルティング会社の支援を検討し、当社にも相談が寄せられました。
お客様から経緯を聞き取ったウルシステムズは、先行してプロジェクトに参加していたコンサルティング会社が「プロセス中心のアプローチ」をとっている点に着目しました。お客様は特性の異なる複数の事業領域を持ち、それぞれの事業部門が全く異なる顧客や取引先と接しています。業務プロセスや商習慣がそれぞれ異なるため、事業ごとに個別最適化してきた経緯があります。それぞれの事情があるため整理や共通化は容易ではありません。コンサルティング各社が直面していた壁もこのような背景があると判断しました。
お客様からの諮問を受けてウルシステムズは「データ中心のアプローチ」を提案しました。表面上の業務手順やルールは大きく異なっても、扱っているデータは似通っていることが珍しくありません。データの定義や構造を共通化すれば、複数の事業間で利用できるようになります。副次的な効果として業務プロセスを客観的に捉えられるようになります。共通のデータを扱うのであれば、それを扱うプロセスも共通化できると考えられるようになるのです。これにより業務プロセスやシステムを共通化できるようになります。
上記の方針を提案した結果、お客様の承認を受けてプロジェクトを遂行しました。プロジェクト遂行にあたっては以下のような工夫を取り入れました。
プロジェクト運営の都合上、データや業務プロセスの検討は業務単位のワーキンググループを編成せざるを得ません。ワーキンググループの検討が個別最適化に陥らないための工夫として、業務全体を俯瞰する「概念データモデル」を作成しました。業務全体を俯瞰する視点を共有し、ワーキンググループの議論が一貫した方向性に沿って進むようにしました。
EPC (設計、調達、建設)業務の見直しと標準化・効率化はすなわち各業務のコアとなるWBS(Work Breakdown Structure)体系の見直しに他なりません。その実行にあたっては事業ごとの特性を考慮し、差別化すべき要素と標準化すべき要素を明確に分けました。標準化によって各事業の強みが失われることがないように配慮しました。
ウルシステムズはお客様側の立場でプロジェクトに参加しました。お客様の立場でこれまでの検討経緯を踏まえ、構想策定フェーズにおける体制やスケジュール、成果物の定義を行い、プロジェクトが円滑に進行するよう活動しました。また、他のコンサルティング会社が作成した進捗状況をモニタリングし、成果物をレビューし、課題を抽出してステークホルダーへ進め方の提言を行いました。
概念データモデルの策定や新たなWBS体系の検討を通じてEPC業務の目指す姿を描きました。その後、業務部門との対話を通じて会社の目指す方向の共通認識を図り、システム導入に向けて動いています。現在は構想策定フェーズを完了し、ベンダー選定、システム導入に着手している段階です。今後もウルシステムズはシステムの全体構成やシステム間の連携、システム導入を通じた業務改革の実現を継続的に支援してまいります。