PROJECT

プロジェクト事例

ミリ秒レベルでの高速処理を実現

大手証券会社様

ミリ秒レベルでの高速処理を実現

金融・保険
アジャイル開発
先端テクノロジー活用

サマリー

大手証券会社様では債券の時価計算にバッチシステムを用いていましたが、データ量の増大につれて日々処理時間が長くなり、業務上さまざまな問題が発生していました。ウルシステムズは将来的な規模拡大を見据えて、アーキテクチャの再構築を提案。先端技術を駆使することにより処理性能の飛躍的な向上を実現しました

背景

お客様は債券業務に強みを持つ大手証券会社様。業務の一環として、毎日定刻に債券の時価データを金融事業者や取引先に報告しています。時価計算処理には10年以上前に開発したバッチシステムを用いていましたが、データ量が増加した結果、処理に30分以上要する状況に陥っていました。計算のやり直しが発生した場合には、時価の提供期限に間に合わない場合もあり、市場に影響を与えてしまうリスクを抱えていました。

提案方針

債券の時価計算ではリアルタイムに更新される金利等のマーケット情報や、数万件におよぶ大量の銘柄情報を参照する必要があります。このためリレーショナルデータベースではデータアクセスがボトルネックとなり、処理速度の向上には限界があると判断しました。そこで、インメモリーデータグリッドを活用し、並列化した計算機のメモリー上に必要な全てのデータを配置することで、データアクセスを高速化するアーキテクチャを提案しました。

活動内容

「債券時価の計算処理を30分から10秒に短縮すること」をゴールとしてプロジェクトをスタート。目標達成に向けて最新テクノロジーの調査と技術検証を重ねました。未公開事例を含めて徹底的なヒアリングを実施した結果、最終的に海外ベンダーの製品を選定しました。国内実績が少ないという理由から新製品の採用に難色を示す声も多くあったため、プロトタイプを用いたデモを複数回に渡って実施。運用時のサポート体制も整備することで不安払拭に努めました。

結果

アーキテクチャの刷新により時価計算の処理時間は30分から10秒へと大幅に短縮しました。定時報告スケジュールに余裕ができた結果、パラメータを変更して何度も計算を行うことが可能になり、業務のあり方が一変しました。また、スケールアウト可能なアーキテクチャを採用したことにより、データ量の増大に対しても大規模な投資をせずにシステムの処理性能を増強できるようになりました。本プロジェクトを通じてインメモリーデータグリッドのメリットがユーザ部門、IT部門に認知された結果、その後のプロジェクトにおいても同様のアーキテクチャが広く採用されることとなりました。