~ 一般道路における自動運転の交通環境要素を把握する新手法を提案 ~
ウルシステムズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:横山芳成、以下、ウルシステムズ)は、2019年7月1日から2024年3月31日において、東京大学大学院新領域創成科学研究科の小竹元基准教授(研究当時)らのグループ (*1)と「一般道路における自動運転で考慮が必要な交通環境要素の把握」の共同研究を実施しました。
自動運転技術は交通事故低減や渋滞緩和、燃料節約など多方面での問題解決が期待されています。その実用化を支える取り組みの一つが安全性評価です。特に運転タスクの多くをシステムが担う「レベル 3(*2)」以上の自動運転では安全性の徹底的な検証が求められます。しかしながら一般道路は交差点や信号、歩行者といった交通環境要素が多く、自動運転システムが対処すべきシチュエーションが無数にあり、検証データの取得に数十億km以上の走行が必要となるため現実的ではありませんでした。
そこで、本研究ではシナリオベース安全性評価により大量の検証データがなくとも安全性評価が可能な手法の構築に取り組みました。一般道路で遭遇しうる交通環境要素の組み合わせをシナリオとして定義し、各シナリオに対処できるかどうかを検証することで、長距離・長時間走行せずとも安全性を評価できるようにするものです。研究では急ブレーキ時のドライブレコーダーの記録を蓄積した「ヒヤリハットデータベース(*3)」に事故に関与した要因を特定する手法「DREAM(*4)」を用いて交通事故の発生状況を抽出しました。その交通事故の発生状況を日常運転データと突き合わせて発生確率を導き出し、対象のシナリオが交通事故に繋がりうるかどうかを評価しました。詳細は東京大学大学院新領域創成科学研究科の小竹元基准教授(研究当時)、吉武宏特任助教(研究当時)(*5)により公表(*6)されています。
今後もウルシステムズは最先端技術の社会実装に貢献してまいります。
*1 小竹元基氏は2022年度まで東京大学准教授、2023年度より東京科学大学(旧 東京工業大学)教授(兼:東京大学大学院新領域創成科学研究科客員連携研究員)。
研究室:Assistive Technology Lab https://atl.mech.e.titech.ac.jp/jp/home/
*2 SAE International, "Taxonomy and definitions for terms related to driving automation systems for on-road motor vehicles,"2018
*3 東京農工大学/ヒヤリハットデータベース
*4 Habibovic et al., "Driver behavior in car-to-pedestrian incidents: An application of the Driving Reliability and Error Analysis Method (DREAM),"2013
*5 吉武宏氏は2023年度まで東京大学特任助教、2024年度より東京科学大学(旧 東京工業大学)特任准教授(兼:東京大学大学院新領域創成科学研究科客員連携研究員)。
研究室:Assistive Technology Lab https://atl.mech.e.titech.ac.jp/jp/home/
*6 対外的な成果公表:3件 (論文投稿1件,学会発表2件)
論文投稿 | Identification of Critical Scenario Components Based on Driving Database Analysis for Safety Assessment of Automated Driving Systems | Applied Sciences, 13(19), 10770, 2023 |
学会発表 | 自動運転システムの安全性評価を目指した交通事故に繋がる交差点環境要素の把握 | 自動車技術会2022年秋季大会学術講演会 |
学会発表 | 自動運転システムの安全性評価を目指した交通事故に繋がる交差点環境要素の把握(第2報) | 自動車技術会2023年秋季大会学術講演会 |