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オブジェクト指向でなぜつくるのか |
「オブジェクト指向でなぜソフトウエアを作るのですか?」
みなさんならこの質問になんと答えますか?
「いったん作ったソフトウエアを再利用したいから」「次のシステムではJavaやC#を採用することが決まっているから」でしょうか。あるいは「上司やお客様の希望だから」「最近の流行りだからなんとなく」という方もおられることでしょう。中には「以前うまくいかなかったから、当面オブジェクト指向を採用する予定はない」そんな方もおられるかもしれません。以前は限られた開発者の間だけで細々と使われていたオブジェクト指向技術も、1995年のJavaの登場以降、急速にソフトウエア開発の現場に浸透してきた感があります。しかしその一方で、この技術をよく理解できずに使いこなせない、という混乱も広がっているように思います。
そこで本書では、オブジェクト指向と呼ばれる技術が何(what)であって、なぜ必要なのか(why)を説明します。具体的には、オブジェクト指向技術全体の見取り図を示した上で、そこに含まれる各種の技術、すなわちJava、UML、フレームワーク、デザインパターン、モデリング、アジャイル開発プロセスなどの位置づけを明確にします。そして個々の技術をたんに紹介するだけでなく、それらが登場した理由や背景についても説明します。
全体像と、その中での個々の技術の位置づけや目的を理解できれば、オブジェクト指向をめぐる混乱に惑わされる心配はなくなることでしょう。
本書は「プログラムはなぜ動くのか」から始まる一連の「なぜシリーズ」の5冊目に当たります。読者の中には「オブジェクト指向でなぜつくるのか」よりも、プログラム、Windows、ネットワーク、コンピュータに続くテーマとして「オブジェクト指向をなぜ取り上げたのか」を知りたいという方もおられるかもしれません。
しかし本書を読めば、オブジェクト指向がプログラミングや設計を始めとするソフトウエア開発技術全体をカバーする重要なテーマであることが理解できるはずです。そして、ソフトウエア開発に関する新しい技術やアイデアの多くが「オブジェクト指向」を軸として生み出されていることも実感できるでしょう。
そしてこのオブジェクト指向は、今後10年間を見通しても陳腐化しない基本的な技術です。「なぜシリーズ」のコンセプトは「10年後も通じる基本を身につけよう」ですが、オブジェクト指向はまさにそれにふさわしいテーマと言えるでしょう。
本書は多くの方に気軽に読んでいただくために、プログラミング言語の文法やUMLの規則など、技術の詳細な説明は最小限にとどめました。このため、初心者の方やオブジェクト指向に一度はチャレンジしながら挫折してしまった方、ソフトウエア開発の現場に直接関わっていないIT業界の管理職の方など、多くの方にオブジェクト指向を正しく理解していただくきっかけになることを期待しています。また日頃からUMLやJavaを使ってソフトウエアを開発している方にとっては、ご自分が使っている技術の位置づけや目的を再確認するために役立つことでしょう。本書がソフトウエア開発に携わる方々のお役に立つことを願ってやみません。














